【さぽている育成日記】娘がやってきた

オレは、総合商社『天覇』のクグツ……もといカンパニーマン。
綾乃社長の命の下、如何なる困難をも排除し、社に忠誠を捧げたそんなありきたりのカンパニーマン。
そんな、オレに久々に社長直々にお呼び出しがかかった。
今度は、いかなる仕事を仰せつかるのだろうか?
そして、またどんな困難に立ち向かえるのだろうか?
不謹慎ながら、オレの心は期待で高鳴った。
そして、社長室の前。
ドアを二度ノックし声をかける。
「……です、入ります」
「おおぅ、来たか。待っていたぞ」
2秒でドアを潜り、社長の御前に馳せ参じる。
「して、今回はいかようなご用件でしょうか?」
「相変わらず、固い男だな」苦笑を浮かべソファに座るよう手で合図を送る。

一言断りを入れてソファに座ったオレを満足げに見た後に、社長は話を切り出してきた。
「お前の活躍は、探索中ながらもよく耳にしている。社のためによくやってもらってありがたい」
「いえ、自分はあくまで社の為を思い行動しているだけですから……」
「そう謙遜する事でもなかろう。実際、我が社は忌み嫌われている事が多いのに、そなたの働きはクライアントから良い評価を貰う事が多いと聞く」
「……あくまで、自分は仕事に徹してるだけですよ……」すっと、ミラーシェイドを持ち上げオレはそう答えた。
「だが、個人の力では限界があるであろうな」ふと、社長の声色が変わる。
今までのビズ向きの声ではなく、社長本来の優しい心使いから来る、そんな声色だった。
そんな声色に戸惑いつつも俺は、きっぱりと否定の声を出した。
「いえ、自分は一人で行動する事を心がけておりますので」
「だが、そなたほどのエージェントとでもなると、パートナーとしてレーヴァテイルを付ける事が多いであろうに」
「確かに。かの『荒ぶる稲妻』とその部下達も、パートナーをつけております。ですが、自分には不要です」
あくまで、自分の矜持としてパートナーを持つ事を拒否したかったのも事実だ。
だが、『荒ぶる稲妻』らがレーヴァテイルに対して行っている酷い仕打ちを目の当たりにしているオレにとっては、彼女らレーヴァテイルが、天覇の社員に対して抱いている悪感情をイヤというほどを知っている。
彼女らを、それこそ道具のように扱う事は、彼女ら自身も嫌がるだろうし、オレ自身にとっても唾棄すべき事だ。
オレはそういうことをしないといっても、彼女達の信頼を得られる事はないと思う。
オレは、率直にその意見を社長に述べた。
社長は、満足げに笑みを浮かべ頷いた。
「お主の心のうちはわかった。心配しなくとも、お主の心を汲み取ってくれるだろうさ、彼女は」
「ですが……」
あくまで、言い淀んだオレに、社長は仕方無しといったあきれ顔を浮かべこう言い放った。
「あんまり、こう言う事は言いたくはなかったのだがな。これは、『社長命令』である。即座にパートナーと共に仕事にかかるように」
=========================================================
『社長命令』に逆らえなかったオレに、社長は一人の少女をオレに引き合わせた。
靜と名乗ったその少女は、おどおどしつつも手を差し伸べてきた。
握手という事なのだろうか?
オレはその小さな手を取り、挨拶を交わす。
「……だ。お前の好きなように呼ぶがいい」
少女は、やはりおどおどしつつもオレの顔を見上げて
「あったかいです……。この大きな手も、そして心も……」
何かを感じ取るかのように、そして、それこそ優しい顔をしつつそういった。
「……ふん」
オレは、自分の感情を隠すかのように、そっぽを向いた。
そんな、オレの行動を気付いていないのか、少女はまだ何か感じ取っているのかのようだった。
「……まるで、お父さんみたい……って、あ……失礼でしたよね、お父さんだなんて……」
しゅんと項垂れる少女の頭に手を置いて
「言ったはずだ。お前の好きに呼ぶがいいと。お前がそう呼びたいのなら、俺は心から受け入れよう」
といってやった。
少女は、はじめは吃驚したかのような表情を浮かべていたが、やがては咲き誇る美しい華のような満面の笑みを浮かべて
「それじゃあ、『父上』でいいですか?」と言った。
さっき言った手前、俺には拒否する理由はなかった。

その後、オレの乱雑に散らかっている家までやってきた彼女と色々と話をした。
彼女自身の話、そしてオレ自身の話。
誰かと話すことが楽しいものだと、久々に思い出した。
これから、俺は、彼女とどういう道を歩むのであろうか?
=========================================================
とりあえず、うちの本家HPhttp://www.geocities.jp/game_ken9in/で導入を開始した、さぽているとの生活を赤裸々につづってみようかと。
今回は初回ということで、SS風味。
ちなみに、さぽているの『靜(しずか』という名前は、本家HPでの看板娘だった女の子の名前です。
文字通り、うちの娘でした。
なお、知ってる人が知っている某チャットでの靜とは、一切関係ありませんのでご注意をw

アルトネリコ 世界の終わりで詩い続ける少女

アルトネリコ 世界の終わりで詩い続ける少女

アルトネリコ 1―アルペジオ (BLADE COMICS)

アルトネリコ 1―アルペジオ (BLADE COMICS)

アルトネリコ (2) (BLADE COMICS)

アルトネリコ (2) (BLADE COMICS)

アルトネリコ 世界の終わりで詩い続ける少女 設定資料集

アルトネリコ 世界の終わりで詩い続ける少女 設定資料集