【さぽている育成日記】二人で一緒に……。

最近の討伐や探索のの仕事でも、段々と息を合わせれるようになってきた。
実に良い傾向だと思う。
いや、本音は、彼女の詩を戦闘で聞くのではなく、もっと寛いでいる時に聞きたいのだがな。


久々のオフ日。
近くの夜店街に繰り出してみたんだが……。
何時の間にそういう浴衣を用意したんだろうか……。
「えへへ、女の子には色々と秘密が多いんだよ♪」
いや、まったくそのとおりで……。
それと、おそろいの服を着させようとするのはよしなさい。
「えぇ〜っ!!なんで!?なんで!?靜とおそろいなのはいやなの?」
いや、そこでシュンとなって泣きそうな顔になって言ってもダメだ。
いやいや、そう落ち込まない。
言い方が悪かったが、別におそろいでもいいんだが……。
その……なんだ……。
オレにそういう子供サイズの…、しかも女の子用の浴衣は絶対に似合わないから……。
「あ……。えへへへ、しっぱい、しっぱい」
てへっと可愛らしく舌を出しあまり悪びれた様子もなく言う彼女のおでこにデコピンをくれてやった。


さて、肝心の夜店街は色々と波乱があった。
炎の大道芸人に迫られたり、それから逃げる最中に魔界に迷い込んだり、怪しげな祭具を置いているところに迷い込んだり
本当にいろんな目にあった。
そういう目にあった所為か分からないが、彼女がより一層オレにくっついてくるようになってきた。
親として頼りにされているのではないような感じがするのだが……。

【さぽている育成日記】再び始まる

彼女との、戦闘での連携が上手く取れるようになってきたので、久々に任務がてらに色々と出歩いてみる。

やっぱり、彼女はなんだかんだ言って訓練をやり続けるよりも、こうやって外を出歩いている方が好きなようだ。
他愛無い森や学校の周りを歩くだけでも、かなりのはしゃぎようなのだから。

【さぽている育成日記】方向転換!?

実は前々から探索中に、頻度は少ないとはいえ敵との遭遇があったのだが、そのどれも負け続き。
前に一度だけ、彼女が謳った魔法(というか、オカリナを吹いてただけぽかったが)で撃退には成功しているが
どうも上手く連携が取れていない。
彼女はどうやらその事を気に病んでるようだ。

別に気にしなくてもいいとは言っているんだが
「父上の足を引っ張りたくはないから」
とのこと。

別に気にしなくてもいいのだがなぁ。
その分の俺が頑張れば良いだけの事だし。
それにあの詩声を、こういう暴力的な事にも使わせたくも無い。

【さぽている育成日記】夢をかなえる

今日は少しばかり彼女を驚かせようと思い、ある企みを実行した。

俺につれられて彼女がやってきたのは、夏休み中の学校。
なぜこんなところに連れて来られたのか訳がわからずに目を丸くする彼女に、俺は一冊のパンフレットを手渡す。
それはこの学園の一日体験入学の案内書。
たった一日だけだが、彼女に学園生活を送ってもらいたいと俺なりの気遣いなのだが……。
「うん、ありがとう、父上。とっても、とぉ〜ってもうれしいよ♪」
目を輝かし、屈託の無い笑みを浮かべて、彼女はそういった
どうやら、相当気に入ってくれたようだ。

その後、実際の授業体験を身をもって体験した彼女。
どんな些細な事にも感心して、本の中だけでない、実際の体験を知識として身に付けていってるようだ。
ただ、先生が冗談めかして言った「七不思議」の話が相当怖かったようで、俺の腕にしがみついてきたのだが……。
人前でそういう行動は恥ずかしいから止めて欲しかったんだがな……。


束の間の学園生活を楽しんだ彼女が、帰宅後に俺に何かプレゼントしてくれるとのことらしい。
その準備とやらで、自分の部屋に篭って数十分ほどして、彼女が部屋から出てきた。
その格好は……。
「じゃぁ〜ん。えへへぇ〜父上こういう格好すきなんでしょ?」
とはにかんだ笑顔で聞いてきやがりました我が姫君の格好は、どっからどうみても巫女さんでした。
「それはどういうことかな?」
内心ドキマギしつつ、努めて冷静を装い聞き返す。
その台詞を聞いた姫君様は、ちょいと小悪魔的な笑みを浮かべてのたまわれた。
「だって、お祭りに行ったときに、何時も巫女さんの方を見てたり、時たま鼻の下を伸ばしたりしてるし、それにこの間父上のベットの下から……」
続きの台詞を言わせまいと、2秒で彼女の口を塞ぐ。
「ハ…ハシタナイセリフハキンシデスヨ?」
努めて冷静に言ったつもりが、棒読み台詞になってしまった。
「あはははぁ、おかしいんだ父上ってば」
本当に面白そうに彼女は笑い
「それじゃあ、黙ってる代わりに貸し1つだよ♪」
といった。
どうやら、相当大きな貸しになりそうだ……。

【さぽている育成日記】希望の明日へ伝える翼

彼女が、また新しい詩を紡ぎだした。
それは、希望溢れる詩。
「いのち」を持って再生した事を祝福するための詩。
戦闘用の詩よりも、こういう人々の心に訴えかける詩の方が彼女は生き生きとしているように思える。
心なしか、彼女の表情も晴れやかだ。
やはり彼女には、こういう詩を謳わせたいものだな。

【さぽている育成日記】学校への憧れ

彼女がまた新たな服を紡ぎ出した。
それは、普通の女学生なら身に付けるであろう学生服。
友達と語らい日々を過ごすそんな何気ない日常。
だが、普通ではない彼女にはそれはまたの夢の夢。

せめて気分だけでもという彼女の気持ちは、痛いほど分かる。
とりあえず、いつかはその夢を適えさせてあげたいとは思うんだが……。

【さぽている育成日記】それはちょっと……

「父上、父上〜。ちょっときてぇ〜」
隣の部屋から、はしゃぐ彼女の声がする。
やれやれ、この度の我が家の姫様はどのようなご用件なのかね。
そう思い、隣の部屋に入った俺は思わず目を見張った。
「へへぇ〜いいでしょう〜」
甘ったるい声で、しかも上目使いで俺を見てくる彼女の姿は……。
「『こんいろの水着』といって、男の人ならぐっと来るんだって♪」
こっぱずかしい姿でした……。
「えと、どうかなぁ?」
彼女は、うっすらと上気した顔でオレにその服(?)の感想を聞いてくる。
ゴホンと咳払いをしつつ、オレは
「とりあえず、何時もの服に着替えなさい」
ビシャリと言い放った。
「えぇ〜なんでぇ〜」
不満げに言って来るが
「なんでじゃない。今後、プールに行く時以外はそれを着るのは禁止」
と、言ってやる。
彼女は不承不承でそれに従った。
……まったく……。
少しは、恥じらいというものを身に付けて欲しいものだ……。
もしオレ以外の誰かが、ああいうのを見たら何をするか分からないしな。
そこのところを含めて注意してやる事にしよう。